相談事例2.~設備投資か廃業か、後継者の決断~

◇設備投資か廃業か、後継者の決断

『今から大きな借金をして事業を続けるか、このまま廃業するか迷っている』

60代半ばの食品製造業の社長からこんな相談がありました。

人気商品もありファンも多いので、事業は今後も続けていきたいと思う。
しかし、設備が老朽化し、食品衛生法上、設備の更新だけではなく建物の改築も必要で、それには多額の資金が必要となる。

そこで、金融機関に相談したところ、後継者の見通しを聞かれた。
長男は、他の仕事をしており、帰って来てくれるかわからない。継いでくれないなら、廃業を選ぶしかない・・・

機械などの設備投資の回収には数年を要すると言われます。
建物となると売上や利益に直結しないため、回収にはさらに長い期間が必要で、返済期間もできるだけ長くとりたいというのが経営者の考えだと思います。

 

最近の金融機関の貸付審査では、65歳以降くらいの経営者の企業におけるある程度の規模の設備資金の場合は、“後継者の状況を確認する”という話しを時々耳にします。
対象が建物で貸付期間が10年を超えるような場合はなおさらでしょう。

 

この事例では、まず、息子さんに設備投資や借入れについての状況を私から説明しました。そして、息子さんも一緒になって将来の構想について考えてみました。息子さんも会社のことは気にかけていた様子で、そろそろ決断をしなければと考えていたようです。
将来構想はまだ検討中ですが、『父の味を引き継ぎたい』との思いから、事業を引き継ぐことが決まりました。

 

 

後継者が決まる理由やきっかけは様々です。今回は事業継続か廃業かというギリギリのところでの決断となりました。
できれば早めにと思いますが、なかなかきっかけがつくれないというのが現実かもしれません。
セミナーや取引先、金融機関・支援機関の話しなど、何かをきっかけにして、承継について具体的に行動してみたらどうでしょうか?

 

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